「邦楽」(3)
〇日本の音楽と欧化
1549年 フランシスコ・ザビエル グレゴリウス聖歌や器楽合奏
1853年 ペリー 軍楽隊→1869年 イギリス軍楽隊長、フェソトンが薩摩藩軍楽伝習隊を結成→1971年に兵部省を新設、軍楽隊を発足
1974年 宮内省式部寮伶人に洋楽
「日本の美術工芸は素晴らしいが、音楽はダメだ。
明治の初めに来日した外国人はそう観察した。同じころ、音楽家は社会全体の奴隷だと、その地位の低さが指摘されている」
(「荒城の月」 1901年 『中学唱歌』 土井晩翠 「宴」「エ」にシャープ記号 大正の末に山田耕作が改めてヒット)
ペリー提督が来日した時、通訳のウイリアムズは日本人の歌を聞いて、これが音楽かと驚いた。1854年、アメリカの艦隊サスケハナ号へ招待された武士が、船を離れる時に歌ったのを聞いた感想。1867年、日本通のイギリス外交官アーネスト・サトウは、日本人の歌声を調子はずれと断じた。
1879年の東京・新富座、王立イギリス歌劇団と名乗るヴァーノン一座を雇った。「漂流奇談西洋劇(かぶき)」 観客は、「洋犬(かめ)が吠えるのと同じだ」
1875年、イタリアのスカラ座で活躍したソプラノ歌手パルミエリが来日 延遼館(えんりょうかん) イギリス人ワーグマンの絵では出席者はわずか3名で居眠りしている。
1905年、ドイツ人ベルツが柴田環(のちの三浦環)を絶賛。環は1912年、帝劇の女優たちに声楽を教えるも女優たちは豚の鳴き声だと嘲って授業をボイコット。神戸絢子もスルーされる。
方言が唱歌普及に障り 日本人の濁った声や歯並びの悪さ(1950年、“青空楽団”まで、調子はずれ続く)
1928年、マイクロフォン「電気吹込み」
伊庭孝 日本は低俗下劣 “流行歌論争”。「鄭声(ていせい)を放て(悪歌追放)」
雑誌『キング』を発行する講談社は“流行歌浄化”を旗印にキングレコード発足
NHK「独立守備隊の歌」。時局レコード 愛国歌謡
昭和32年、朝日新聞が「肉弾三勇士の歌」を懸賞募集 与謝野寛(鉄幹)
1933年、読売新聞は流行小唄の懸賞募集 門田ゆたかの「東京祭」
流行歌は漫才や落語に比べると処分件数ははるかに少ない 劣情を刺激するような歌い方を検閲
1936年、「国民歌謡」1回目「日本よい国」奥田良三
1937年、「愛国行進曲」に懸賞募集
放送、レコード、映画 歌の広がり 官庁の力
電波統制下 “敵性音楽の排除” 鼻声で歌ってはならぬ、裏声や弱々しい細い声もダメ 歌い方にも注文 マイクの使用が禁じられる
1943年、国民皆(かい)唱(しょう)運動 戦意高揚 “歌える国民”に近づいた
「ラジオ歌謡」 明朗、清純な歌
「山小舎の灯」 1947年、連続放送劇「鐘の鳴る丘」 「とんがり帽子」
「リンゴの唄」 「悲しき口笛」
「のど自慢素人音楽会」 “マイクの解放” 「のど自慢」1回目放送1946年1月19日 「紅白歌合戦」
1951年、第1回放送、1953年からは大みそかに定着 “国民的行事”
民間放送の発足1951年 CMソング 「レコード大賞」1959年 「夏祭りにっぽんの歌」
進駐軍向けの放送FEN「ジャズ・アワー」 一ツ橋の共立講堂と読売講堂が演奏会場 ジーン・クルーパ、チャーリー・ヴェンチューラ、テッディ・ナポレオンの三人が「荒城の月」「証城寺の狸ばやし」吹込み
マンボ・ブーム 53年1月、ザヴィア・クガート楽団。11月、「JATP」(ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック) フランキー堺、ナンシー梅木
1953年3月、東京六大学の出演「音楽リーグ戦」
ロカビリー 日劇 「ウエスタン・カーニバル」1958年2月8日
1965年、ザ・ベンチャーズ、ザ・アストロノウツ来日
グループ・サウンズ(GS) ザ・ビートルズ来日
「りんご追分」「悲しい酒」「川の流れのように」「愛燦々」
<邦楽のことば>
「〆る」:だんだん遅くの意味(rit)次第にゆったりして終わる感覚ではなく、ギュ、ギュッ、ッッギュッと徐々に締め上げていく感覚。
「見計らい」:自由に演奏すること。他人の演奏。踊りに添って臨機応変に演奏すること。
「付き直し」:曲の頭に戻ること
「減(め)る」「上(か)る」:「上る」は音程が高い、「減る」は低いの意。尺八の用語、「吊ってる」とは吊り上がって音程が高め。
「ニュー消し」:だんだん弱く小さくなっていくこと。
「調べ」:チューニングのこと、調子を整える。
「おやす」:だんだん強く。反意語―「かすめる」
「どんちゃんさわぎ」:大太鼓の“どん”、三味線の“チャン”など大騒ぎの様。
「ちゃんぽん」:中国の銅鑼“チャーン”、鼓の“ポン”、中国と日本の楽器フュージョンから文化の交わりを指す。
「あしらい」:能や歌舞伎で囃子方の演奏方法のひとつ。比較的自由に見計らいで演奏すること。日常語でもとりあわせの意で使う。
「陰音階」:半音を含んだ音階、陰施法。
参考:「落語に花咲く仏教」釈徹宗(朝日新聞出版)/「邦楽おもしろ辞典」西川浩平(ヤマハミュージックメディア)
参考:「音楽の不思議」(69-#533)/「近代歌謡の軌跡」倉田喜弘(山川出版社)






