3.声の話

Vol.89

○正当化

 「自分は正しく生きている」、「まわりに嫌がらせもしていないし、迷惑もかけていない」と、多くの人が思っています。きっとあなたも、その一人でしょう。本当にいじわるな人は、こういうものは、読みません。

ということで、ときに他山の石、人の振り見て我が振り直せ、自分もそのようにどこかで思われている可能性を知りましょう。恨みは、本人の知らないところで買うのです。それはあなたが嫌われているとか、いじわるしているというのではありません。

誰もが自分は正しく生きていると思えるように生きたいし、自分の行動もそう考えるようにしているものです。しかし、人と会って、関わって生きていくということは、必ずいろんな関係と思惑と問題を生じていくものです。

 

○相手の事情

 悪人にも五分の魂とは申しません。でもあなたが極悪人と思う人にも、その人の理というのがあると認めるということです。

これはとても難しいことです。どの国の大統領もできません。でも、彼らのようには権益が絡まないなら、私たちはもう少し、自分に正直にいられるのではないでしょうか。

 その人が、会社でやめずにいたら、その人に友だちや家族がいたら、妻子がいたら、そこではその人はその役割を充分に遂げてきたし、やっていると認めましょう。

まわりにすべて嫌われているとしても、なぜ生きていけるのかを考えたらよいのです。案外と、大きな信頼・信用をもっていることが多いのです。そうでなければ、生きることにも困っているはずです。

 

○よい面だけをみる

 私は、相談を受けると、まわりの人がどう言っていても、そのよい面だけをみるように言います。

 だいたい上司とか社長とか、嫌われている人は影響力があるからです。ところが大半の人は、耳に入っただけの情報とレッテルで断罪します。

 「自分勝手」、「いやしい」、「ずるい」、そう言ってしまえる人たちを、うらやましいとは思いません。そのことによって、切っているのは相手ではなく、自分だからです。多くの場合、文句を言う人は切り捨てなくてはいけないほど影響を受けているのに、先方にとって、その人はどうでもよいということが多いのです。

 その言葉で関係を悪化させているのは本人なのです。多感な高校生で教師、両親への反抗というのなら、ガキらしくてよいのです。そうして学ぶのです。でも、社会人だとしたら、そこで学ばないと、先はないのです。

 

○ステレオタイプを脱する

 まわりがそういう人ばかりだとレッテル貼りにたけていきます。レッテルを受けて、その通りのステレオタイプと人をみてしまいます。それで損するのは、自分です。

 私も、世の中に出た頃、目上の人たちが皆、そういうふうにみえて、とても嫌でした。しかし何年かたつと、自分もそうなっていくのです。その村社会での掟から、いかに自分を解き放つかが、本当の自分を生きていく最大の分岐点だと思います。そこまでの自分はあるのか、それは何なのかという問いが始まります。

 人間は決して、白黒2つではない。自分を誤解されたくなければ、まず、人にレッテル貼りしてみるのをやめることです。自分はレッテルを貼られてもよい。人に対してそのようなことをしなければ、あなたのまわりはそのような人が集まり、人生は幸せになっていきます。人のよいところから学べる人は、成功していくのです。

 大半の人は、人の悪いところばかり見て、自分の人生をも、退行させているのです。

 

〇他人に幸せの声をかけよう

 あなたが相手に心地よい声をかけると、相手は癒されます。あなたの幸せは、あなただけの満足では実現できません。あなたが満ち足りても、まわりがみんな暗く心配な顔をしていたら、浮ばれません。あなたがいくらがんばっても、それでは、ザルに水を注いでいるだけです。

 まわりが皆、暗い声をしているときに明るい声をかけられるのは、天使です。それは天使の声です。

そして声は、気分を伝達します。

芸人というのは滅私奉公、自分の恥をさらして人の楽しみに貢献します。アーティストもそうです。作品をつくり、人の世にたまったストレスや怒りを鎮め、もっと大切なものに気づかせてくれます。すぐれた仕事も同じです。自分の何かを使って、他人のために尽くします。

 だからといって、それが他人の幸せ、自分の不幸になるわけではありません。もしそうなら、それはあなたの力がまだ足らないか、使い方が充分でないからです。他人の幸せで、自分はもっと幸せになるまでがんばりましょう。それに、本当の実力がいるのです。

 

○歌のまえに声

 

「歌で世界に愛を伝えたい」などという人もときおり、いらっしゃいます。そのまえに、「声でまわりの人を勇気づけたら」と、答えます。

誰も、有名欲にかられた人の歌など聞きたくありません。誰もが自分でカラオケに歌いに行く時代なのです。

 歌や声を学ぶなら、それは声のもつ、もっと大きな力を使えるようになるために与えられたモラトリアムにすぎないのです。

今のあなたの声で、も充分に多くの人を助け、世の中を明るくすることができるのです。それを、忘れないでください。

 

 

〇成功している人を認める

 

 

 日本人は、皆、平等と思っている分にはよいのですが、それゆえ、少しお金をもっている人、仕事に恵まれている人、もてたり、受けのよい人のよいところを認めたがりません。悪口を言い、足をひっぱろうとします。おとしめることで、相対的優越感をもとうとします。そねみ、ねたみ、しっと、この3つは、あなた自身が幸せになるのを妨げる悪魔の心です。

 

 そうしている限り、その相手は、さらにうまくいき、あなたはもっと悪くなります。そのことに早く気づき、人生を逆転させてください。その人のよいところを学び、悪いところがあれば、無視すればよいのです。

 

 学んでよくなっていく人は、他人のよいところに学びます。学んでよくならない人は、他人の悪いところにこだわります。人にはよいところも悪いところもあるのです。それをどう生かすかはあなた次第です。学ぶためには、他人からどう学べるかということなのです。

Vol.88

〇情報のデメリット

 

 最近の若い人は、年齢よりもませて、判断できるレベルを超えて、たくさんの情報を得ています。そのことで、行動しにくくもなります。

情報が多いため、一つずつ目でみて手間をかけることができないので、選択の判断を情報に任せてしまいます。そして、情報から、結果を予測してしまうからです。 

やってもみないのに「やってもムリ」と思うと、動かないのです。そこには、「やってムリなら、無駄、損した」というような、省エネ思考が見受けられます。「ムリなことをやるのは恥ずかしい」と安っぽいプライドに支配されつつあるようにも思います。

声を出したり、他人に声をかけることも同じではないかと思うのです。

 

○声の力を使う

 

「あなたは、この二日間、何も食べていません。お金も持っていません。さて、どうすればよいでしょうか」今の若い人にそのように聞けば、「ネットで検索して調べます」と答えるかもしれません。ネットで調べても、あなたのお腹はふくれないでしょう。メールで、食べものを送ってもらいますか。

外に出て、通りがかりの人に片っ端から事情を話してみたら、たぶんそれほどかからずに、あなたは一食分、手に入れているでしょう。

声をかけたからです。それが、あなたのすべきことなのです。

 もちろん、12回でうまくいかないので、そこでやめると動けなくなります。「そんなことをしても、できない」というしばりになります。もったいないことです。もらうことが目的なら、もらうまで、声をかけ続けたらよいのです。 

もらえなくても、「ムリそうなのでやらない」というのと、「やってもできなかった」というのはまったく違います。そこで体験ができたということが大切なのです。その体験から学んでいけるからです。

すると、次にやってまたできなくても、少しは近づけます。そうして学んでいけばよいのです。

 

○失敗は成功の元

 情報はいくら手に入れていっても何も変わらないのです。その情報ですぐできてしまうものなどは、できたといわないからです。ただ、やり終えただけです。できないようなことをできるようになって、できたというのです。

できた、できていない、成功、失敗を一時で決めないことです。時間をかけることです。

できないことをやり続けるのが、人生の醍醐味です。

 

〇行動しよう、声を出そう

何ごとも成功よりも、失敗したときに味わいがあります。人間関係も同じです。失敗しないと成功もまた味わえません。

 成功したときに誰もが楽しく失敗談を話します。失敗せずに成功した人はいないのです。

 つまり、試みることに意味があるのです。

 成功、失敗と白黒に分けるのでなく、成功も失敗も体験しなかったことがもったいないのです。

 だから、行動しましょう。はい、「声を出しましょう」ということです。

〇自分の首をしめる声

 首をしめたときの声は、死ぬ間際の声で、殺されるような声ですね。「借金で首が回らない」といいますが、本当に筋肉がこわばり、首が回らなくなるのです。すると声も、出なくなります。押し殺された声になります。

 暗い声を元気なさそうに使う、ヒネたふりをする、子どもっぽい声を出す、それらは、すべてあなたの首をしめることになります。

 昔、私は、ほとんど風邪が治りかけていたのに、まだ具合の悪い振りをしていたことがあります。声を力なく出していたら、本当に気分が滅入って具合が悪くなりました。

 病気に逃げると、多くの人は病気に慕われて、本当に病気になってしまうのです。

 

○バランスを整える

 人間の心身は、とても際どいバランスをとって、ようやく成り立っているので、気を抜き、息を抜き、声を抜くと、しぼんだ風船のようになってしまうのです。そのときには、あなたの体は、まわりにあふれている病原菌のかっこうの棲み家になってしまいます。恐いことですね。

 しかし逆にあなたが、気を入れ、息を入れ、声を出したら、風船はパンパンに膨らみ、何ごとをも跳ね返します。気合いを入れ、「イエィ」と叫んでみてください。

 暗い声を使いたくなったら、まずニコッとして笑い、その気分を吹きとばしてください。

○ネガティブ感情の昇華

 

 自分に否定的な言葉やネガティブな声を使うのをやめましょう。

言葉のクセはなかなかとれません。まず、声だけでも明るくしましょう。

 悲しい歌を悲しく歌うのは悪くありません。他人には、悲しさが伝わります。少し救われます。しかし、プロは、悲しい表情で歌い切ったら、ニコッと笑います。あなたの心の悲しさを少しもちあげて、何かを気づかせ、そっと解消させてくれます。それが芸というものです。

 人は、救いを求めるのです。悲しいことを喜んで言ってはなりませんが、声はそれほど暗くする必要はありません。陰気にしていると、幸福も逃げてしまうのです。

〇ストレスで声が出なくなる

 マイナスイメージのいきつくところ、発声の機能に何の損傷がみられないのに声が出にくくなってしまうことになります。

 ストレスによって、心身にはいろんな変化が生じます。そのなかでも、声は比較的、大きな影響を受けます。ヒステリーで声を張り上げ、その後出せなくなる人もいます。

 落ち込んだときの声は、暗くこもってしまいます。心の壁を巡らしたことを、声はまわりに伝えてしまいます。

 「一人にしてくれ」というときには、声は出しません。声からその人の状態がわかります。

でも、こういうことを笑いとばすことでよい方向へ早くもっていけることもあります。

○ストレスの効用

 ストレスは、生きていくために必要な刺激です。ストレッサーといいます。それをプラスに受けとめるかマイナスに受けとめるかは、あなたしだいです。受け身になるほどに、つらいのです。

ポジティブになると楽になり、楽しくなります。人の心身は、そのようにつくられています。

 あなたはジェットコースターは好きですか。動物は、その事情がわからないから、もし乗せられたらパニクって、大嫌いになるでしょう。まるで拷問のようになります。

あなたも嫌いなら、絶対に乗りたくないでしょう。好きでも具合がとても悪いときは、つらいでしょう。自ら選んでストレスを受けるのは快感ですが、強いられて受けるのは不快なのです。

 ジェットコースターで手を上げ、声をあげ、楽しむ人は、そのストレスで大きく心身を解放しているのです。ためたら暗くつらくなることが、声で発散させることで、楽しくなるのです。

〇ダイエットは声に悪い

 ダイエットは、声によくないのですが、スタイルと声と、どちらかを選べといわれたら、多くの人はスタイルをとるのではないでしょうか。

 しかし、過度のダイエットは健康のためにも声のためにもよくありません。

 声のよいのは太ったオペラ歌手と相場が決まっていました。太れば声がよくなるのではありません。しかし、体が楽器ということでは、体格は関係します。大太鼓と小太鼓では、迫力が違いますね。

 しかし、声は、迫力だけで勝負するわけではありません。深い音色ではチェロにかなわないヴァイオリンも、オーケストラでは重要なポジションにあるのです。

 かつては体が大きく強い男たちの時代でした。もちろん、多産の時代は、女性も大きなお尻が求められたものです。日本では少子化がとどまらず、もう遠い時代となりましたね。

 とにかく、魅力的な声は、健康が売りもの、健康な体がベースです。声によい食べものは諸説ありますが、栄養価の高いものです。

〇考えないから、ややこしくなる

 何ごとも、常に主導権は、自分にあると思うことです。嫌がらせを受けても、無理してすぐ心を閉ざしてしまうのはよくありません。気にせず放っておけばよいし、それでやまないのなら、原因や対抗策を考えることです。

それは、自分のどこが悪いかと反省するためではありません。まずは、事実を客観視するためです。もしかすると、嫌がらせだと一方的に思い込んでしまったのかもしれません。何ごとも決めつけ拒まないことです。真剣に考えることです。ことばにすることです。相手に言うことかどうか、どういえばよいのかまで考えて行動することです。

 

○声と人間関係

 

新聞や雑誌、TVのニュースなどの情報だけで判断して行動するのは、あなたの人生を狭くつまらないものにします。

あなたの声、言葉一つで、およそですが、どんな人とも良好な関係を築くことも可能です。成功した人は、こういう小さなことを一つずつ、自分のためになる人間関係に転じる努力を惜しまなかったと考えてみてください。

 

 世の中に出て、何年かは、人に振り回されてみるのも大きな勉強です。充分に人間の嫌なところ、くだらなさも体験し、実感してください。その時期が過ぎていつまでも、一生、振り回されていては、先もありません。あなたから切る必要はありません。すべての人にうまく関わっていこうとは考えなくてよいのです。それでも、あなたは生きていけるでしょう。はっきりとことばにして、自分の考えをまず自分に言ってみましょう。

Vol.87

〇出欠とりと声

 「声が悪い」とか「相手によく聞こえない」という人がいます。なぜ、そう思うようになってきたのでしょうか。

 たとえば私たち日本人が声を指摘された数少ない体験のなかに、出欠とりがあります。

 あなたが「○○さん」と呼ばれて「ハイ」と答えたのに、もう一度「○○さん」とくり返された。一度ならず、こういうことが続くと、誰でも自分の声に不安をもちます。「他の人は聞き返されていないのに、私だけ…」。あるいは、他に二度三度呼ばれる人をみて、「あ、私もあの程度しか聞こえていない」、となると、「私の声が小さいのだ」と思ってしまうのです。

 まれに、「あの先生は私に好意をもっていない人だ」など、思い込んでしまう場合もあります。あまり、声のせいと思わないとそうなります。先生も人間なので、本当のところはどうかわかりませんが…。

 このケースは、声についての理解を深められるので、少し詳しく追ってみます。

〇タイミングと間

 

 まず、その原因からです。

 たとえば、タイミング、先生が呼んでいるのに、ちょっと間をあけてしまった。これは先生の間が変わったので確認するために再度、呼びます。ポンポンと返事の返ってくるリズムからずれるので、そこではもうきちんと聞くことをやめています。つまり、先生の耳の注意力が落ちています。そこで、あなたの返事の声の大きさに関わらず、二度、呼ばれてしまいます。性急なタイプの先生、出欠に時間をとりたくない先生には多いです。これは、返事のタイミングと先生の性格の問題です。

 呼ばれたときに、返事を早めにしてしまうのも同じです。何かを言っているとき、人の耳は疎かになっています。「今、返事したよな」と確かめたくて、また聞きます。つまり、二度、聞き返されるくらいなら大丈夫なのです。

〇声を妨げるもの

 

 聞こえていても、その人かどうかを確かめたくて聞き返すときもあります。ときには他の物音が入ったり、まわりの私語があってさえぎられ、聞き返すときもあります。誰かが間で咳をしたり、椅子をガタンとすると、あなたには大して聞こえなくとも、先生の耳の妨げにはなるでしょう。

 先生のまえに音の障害が出たときは、とても聞こえにくくなります。私も声を聞くのに、自分でピアノを弾くと、その音で声が聞こえにくいので、使うのを抑えています。

 さらに空間として、あなたが先生のところから遠くに座る人ならどうでしょう。前の方の人と同じ声量では、届きにくいはずです。

 近くに座る人は、聞こえると思って、ぼそっと言います。これも、聞きづらいです。共に適切な声量について、うまくコントロールできていないのです。

〇声以外の要素

 

 先生には、声でなく目でチェックしているタイプも少なくありません。つまり、声のした方向にあなたの顔の表情、視線や手がみえないと確認しにくいです。他の生徒の代弁かと思うかもしれません。

 私も出欠をとるときには、声を出していなくても、手をあげる人は、OKとしています。出欠は、声での返事の確認ではなく、当人の在、不在の確認です。相手が子供でもなければ、「大きく、はっきりと声を出せ」とは言いません。

 声だけでなく、顔や目でも合図することです。目で出欠をとるタイプの先生もいるからです。

 

〇声の通り

 声の通りの問題もあります。

  1.声質、大きさ、高さ

  2.共鳴

  3.意志の強さ

  4.方向性

  5.発音の明瞭度

 出席のときの声が届かないことと、あなたの話し声がうまくまわりに届いていないということは一致しません。授業と、それ以外で、豹変する人もたくさんいます。

 言いたいことは、一口に「声が聞こえない」といっても、いろんな問題があるということです。その多くはあまり声そのものに関係ないから、すべてを声のせいだと思い込まないでくださいということです。

〇電話での声の通じにくさ

 このようなことは、電話にも通じます。今の電話は、昔よりも格段に性能がアップしています。電話器と声との相性の問題は少なくなってきています。

聞き返されるのは、声が小さかったり、ぼそぼそ発音が不明瞭だからとは限りません。電話の使い方、たとえば口と受話器との距離がよくないのかもしれません。

私も聞き返されることがあります。私の声はよくひびくので、逆に小さくしてしまうこと、特に人一倍、外では気を使うからです。職業柄、声のマナー感覚が厳しいためです。

室外で受けると、相手の声もよく聞こえにくいとか、はっきりと返答できないケースなど、いろんな原因があるということを知っておいてください。

〇声は暗示にかかりやすい

 まわりの人のことをすごく気にする人も、あまり気にしない人もいるでしょう。一般的に気にすると、何ごとも悪い方向に、気にしないとよい方向に動きます。

 悪口をいわれても、「私のことを気にしている、存在感、影響力があるのね、私。私のことしか話すことがないのはかわいそう、あの人」と思えばよいのです。

世の中には、何も言われていないのに、悪く思われていると悩んでしまう人がたくさんいます。

 声については、「変な声」とか、「音痴」など、いわれると、結構、身にこたえませんか。「あんたに何の資格があって、どんな基準をもって、声がどのくらい悪いというのか」と切り返せる人は、そうはいないでしょう。

 声は、本当に実体のないあいまいなものですから、何かの拍子に、ふとそう思ったりしがちです。まして、そう言われると、自分で抱え、思い悩み、悪い方に確信してしまうことが多いのです。

○声の評価は気にしない

 

私は、歌や声については、「まわりの人の言うことは気にしないでください」といっています。「音程が悪い」と友人が何かの拍子で言ったようなものは、大半は悪意のない、言った当人も覚えていないくらいの言葉です。それを何年もかかえていて、相談にくる人もいます。専門家が判定や診断をしたのでなく、単に、ある歌のどこかを、言われたのを覚えていただけの原因ということが多いのです。

 「プロデューサーに声が悪いといわれたんです」という人が来ます。

 プロデューサーといっても必ずしも声のことについては、わかっていません。だから、適当な言葉がなくて、「声が」、などと言うこともあるのです。そういう場合は、まったく気にする必要はないのです。

 今の歌手がそんなによい声をしていますか。(だから、「誰でも歌手になれます」、とは言いませんが。)

 他人の一言で自信をなくしてしまうメンタルの方が、あなたが克服しなくてはいけない大きな問題です。でも、そういう人には、誰もそのことを面と向かっていえません。

〇声に自信を表わす

 ステージで歌っている人は、本心がどうであれ、自信をもって魅力的にふるまおうとしています。自分がよいと思わなくては、どうして人前に立って披露できるでしょうか。その思い込みが、歌やせりふを通じさせる力となっているのです。

 性格のいい人は、「自分の声はよくない、自信がもてない」と思うかもしれません。そうまでして人前でやりたいと思わないかもしれません。

 でも、同じことです。声は、実体のないものでもあるからです。声がよくないといえば、大体は、よくないでしょう。

だからといって、プロは、はったりをしているのではありません。プロとして、お客の求めるもの、よい声、よい歌、魅力的で輝いていて欲しいという願望を、きちんと体現しているのです。そう思い込んで、やっているのです。

 誰が、「正直に自信がなく、下手で悪い歌声だ」、など、いう人のステージをみたいと思いますか。そんな人と一緒に一時を過ごしたいと思いますか。

 本当とか嘘ではないのです。人前に出る人は、魅力的に振る舞う義務があるのです。どんなことがあろうと、どんなことを思っていようと、その思いで振る舞った結果が伝わるのです。

○声をセールス

 

「自分の売っている商品が本当によい」と信じられないセールスマンは、売れません。話し方でも声でもない、その思いが話や声の力を変えてしまうのです。

 

 私は、多くのセールスマンに会ってきました。同じ人でも、自信のある商品はよい声に、自信のない商品ではよくない声になります。ジャパネットたかたの高田さんは、自信のある商品しか売りません。だから売れるのです。

 

 あなたが、あなた自身を売るには、自身は自信、自分の声を否定しないことです。あなたの声は、そのままでも充分に魅力的だと信じてください。

 

 そして「声がよくない」「声で損している」、こういう考えを捨ててください。この声を武器に魅力的になり、好かれ、仕事もどんどんできるようになると思ってください。自信がもてないならヴォイトレをしてください。

Vol.86

〇一声惚れ

 声には表情、姿勢、話し方、歩き方といったものの総合的な要素が、凝縮されて出ているのです。

 一目惚れというのがありますが、一声惚れも案外とあるようです。

 かつて、イタリアの男たちは、二階の令嬢にセレナータで愛を競い合いました。ロミオとジュリエットでも、思い浮かべてください。しかし日本では、つけ文でしたね。いえ、歌垣までさかのぼれば……。

 一目惚れは別として、だいたいの恋のスタートは悪くない人だなという程度で、始まります。本当に惚れるには、電話でのやりとりも含め、声の印象抜きにはありえませんでした。

 もちろん、あばたもえくぼ、惚れられたら声など、どうでもよくなるともいえますが。逆もあります。

 声に惚れたら、あとはどうでもよくなるというのもロマンチックですね。

〇第一印象を分ける声の印象

 現実は、日本人は、目でみて判断する度合いが高いと思います。これが端的に表われたのが第一印象というものです。でも、これにはおもしろい結果が出ています。声の感じは、むしろ第一印象に大きく問われているそうです(心理学者メラビアンによると、38パーセントは声ということです※)。

 一目ぼれに近い状態が起きても、次のステップがなくては発展はありません。その多くは、第二の出会い、心配りや気遣いなど内面的なものが触れ合ったときに起きます。

 しかし、声からみると、言葉が働きかけたときです。たった一言、たった一声が運命を変える。その最終結果がプロポーズの言葉かもしれません。

 

〇オルゴールは、なぜすたれたのか

 軽井沢、那須、嵐山、小樽、河口湖、箱根など、「オルゴール館」は、日本全国の観光地にできています。あの豪華絢爛な大オルゴール、それが、なぜすたれたのか、わかりますか。

 それは、エジソンがおもちゃ代わりにつくった蓄音機の発明のせいです。そう、レコードに代わられたのです。

 そこに人間の声を入れた。歌声など、当時のは、雑音だらけで聞くに耐えなかったのです。

ちなみにオルゴールは、貴族がオーケストラや弦楽四重奏を呼ぶ代わりに、購入しただけあって、荘重で、迫力あるすばらしい音質の演奏にまで、発達していたのです。ただ一つ、欠点がありました。それは、人間の声が入らなかったことです。つまり、人はそれほどまで人の声を聴きたかったのです。

〇声は見た目じゃわからない

 ストーカーまがいの恐い声というのは不気味ですが、その声の持主を知りたいと思う声もあるでしょう。私は、オンエアだけで聞こえる声に惚れたことが何度かあります。そのまま、その声の主が誰かわからなかったこともあります。

 歌も、かなりあとになって映像を入手して、顔をみて、ああ、こういう人がこう歌っていたのかと知った例も多いです。ジャケットや雑誌、本などのうつりの悪い一枚の写真のイメージで、思い込んでしまった例もあります。 スモーキー・ロビンソンやライオネル・リッチーなど、実像は、思い描いたイメージとギャップがあって、それなりにショックを受けました。慣れたら、より魅力的に聞こえるようになりましたが。

 あなたも、歌い手や声優は、声で判断していませんか。昔から噺家などは、声で客をくどいていたものです。

〇声の感じと人柄

 

ということは、日常にも少なくありません。私は電話だけで話していた人と実際に会ってびっくりしたことがあります。とても明るくバリバリに声で思っていた人が、地味でおとなしい人だったとか、暗く軟弱そうに思えたのに、会うと筋骨隆々で明るくいい人だったなど。

 多くの人の場合、声の感じと人柄は、大体、一致します。

 ところが、例外もあります。

なぜそうなったのかを聞いてみると、なるほどと思うこともあります。生まれ、育ちの環境も影響していたのです。

○女性の声

 

世の中には、声の魅力的な女性は少なくありません。現代においては、うぐいすのような声や、ソプラノ歌手、たとえばマリア・カラスのような声は、必要ありません。寵愛を一身に受ける声というのは、もはや、女性の“能力といいがたい”からです。

 仕事においてバリバリのキャリアウーマン、プライベートにおいてかわいい女、イメージによって求められる声は違いますが、これを使いこなしている声の芸術家も少なくありません。女性の美しい顔、体、そして声は、もちろん男性の気をそそります。

魅力的とは、そのように見える、そのように聞こえるということです。素顔と、化粧ばえでない表情です。声も、生の声より表情のある声が求められます。

 カラオケの歌声で自己アピールする人も多いですが、普段のさりげない一言のもつ声のニュアンスを大切にしましょう。そこにキュンとなる人も、決して少なくないはずです。

〇育った環境が声をつくる

 声は、もって生まれたものだけでなく、育った環境で大きく左右されます。英語圏の人が英語にすぐれ、インターネット社会でも有利なのと同じです。声にも先進国とはいいませんが、すぐれた環境とそうでない環境があります。

 国際的にみると、声をあげるのも話すのも笑うのも、はしたないとしてきた日本は、弱声国です。カラオケなどでがんばっていますが、のどを嗄らすだけ、日本人に限っていうと、スポーツ応援でも選挙戦でも、終盤にはもう声を損ねています。あまり、そんな国はありません。

 欧米のように乾燥していて、家が石造りで声を反響させて伝えるのと、木と紙で障子に目あり、声がつき抜けてしまい、いつも小声でしゃべる、じめじめした日本とは、求められた声が違ってきても当然でしょう。

○うるさい地域の声

 

 地域にしてみると、強いのは、うるさいオバさん、オジさんのいるところです。関西(特に大阪)を中心に、広島、福岡、沖縄です。江戸、博多、土佐、薩摩といった方言のアクの強いところも、含めてよいでしょう。

 私は昔、関西から10名、関東から40名の団体を引率して、「皆さん関西から?」と言われました。2割の人数の関西弁が、東京を“凌駕した”のです。

 だいたい暑いところはうるさく、寒いところは静かです。東北の人は、“朴訥”で口が重い。北陸、山陰などでも、似た傾向があります。そこで、方言の問題も生じます。

〇なまっていてもよい

 

 東京にも、方言はあります。この情報化時代、全国あらゆる言語が統一されてしまって、味気なくなっています。どんな地域の人も、共通語を理解して話せるようになってきています。かえって千葉、埼玉、栃木、茨城、福島あたりの、少々なまりがかかっている方が治りにくいと思われます。大して気にすることはありません。

 言語に正しいを求めるなら、言葉遣いや敬語においてのことです。日本で活躍している外国人の日本語でも、充分に通用しているのです。

〇育つ環境と声

 声は育った環境に大きな影響を受けることを確認してみましょう。

 育つなかであなたの声は多くの人の影響で変えられてきたはずです。特に、よく会う人、とても関心を抱いた人(好きな人)、キャラの際立っている人、特徴のある人の声は、あなたの声の形成に大きく影響しています。あなたの声に関する判断基準、好き嫌いにも関係しているのです。

・親の影響

・学校や先生の影響

・職場の影響

・職業による声の違い

 

〇方言は声の宝物

 しかし大切なのは、この事実よりも、ここからくる考え方です。地方出身だからと方言を気にしていると、ますます口ごもり、もぞもぞっとはっきりしなくなります。堂々と話し、笑う奴には笑わせておけばよいのです。方言を改めるのでなく、もう一つ標準語を獲得すると考えてください。外国語を覚えるよりも楽でしょう。ちなみに私は、方言で話す人を、とても尊敬しています。

〇共通語の必要性

 

 外国語は、恥かく人ほど早くマスターするのです。故郷の言葉を恥じる必要は、全くありません。そのニュアンス、その思いの深さは、標準語が失ってしまった声の、もっとも大切なものをたくさん保っているからです。あなたは、方言をもっていることに胸を張って誇ればよいのです。

ただ、人とコミュニケーションするのは、別だということです。仕事では、各地方の言葉やニュアンスを、いちいち解釈していられないからです。方言のよさを活かしつつ、共通語もマスターしておきましょう。 

 

〇日本語

 

ときおり、日本語見直しブームのようなことが起きています。日本人は、日本語を大切にしてきました。それは日本を大切にすることだったのです。

 

 たとえば、インドは西欧文明を英語で取り入れたため、いまだに20以上の公用語があり、少し離れると、英語でしか共通に話せません。そのため、欧米との仕事はしやすくなりましたが。日本人は、日本語に世界中の言語を翻訳し造語してきました。情報習得量が、膨大に上がりました。こうした先人の努力に、頭の下がる思いがします。

Vol.85

〇好かれる声のイメージ

好かれる声のイメージとは何かを考えてみましょう。

  A.みんなに好かれる声

  B.仕事で好かれる声

  C.友人として好かれる声

  D.いい男に好かれる声

  E.同僚に好かれる声

 次に、あなたの目標とする声のイメージをはっきりとさせてみましょう。それぞれ微妙に、いや結構、違うことがわかりますね。

○キャラと声

 声ということで、はっきりしないなら、キャラから考えていってもよいですね。キャラと声も、深い関係があります。あなたの声やキャラクターを知るためにする作業です。楽しんでやってみましょう。

 まず、著名人を使って記入してみてください。よくありますね。結婚したい男、パートナーにしたい男、上司にしたい男、そういう感じでけっこうです。

              声  著名人の名前  キャラ

  A.みんなに好かれる声

  B.仕事で好かれる声

  C.友人として好かれる声

  D.いい男に好かれる声

  E.同僚に好かれる声

〇あなたを取り巻く人との声の相関図

 難しかったですか。でも一度やっておくと、次からは楽です。なぜなら、目だけでなく、耳からも、TVやラジオから、その人の声、話し方を無意識のうちに入れるようになるからです。

 次は、もっと簡単です。あなたの身近な人、親戚、友人、彼氏、兄弟、両親、とにかく7人くらいの人とあなたとの関係図をつくってみてください。

 次にそれぞれの人の声のイメージを書いてみてください。                                                    

 

声のイメージ

  1.    さん(性別  、 歳)

  2.

  3.

  4.

  5.

〇体験から声をみる

 次に、シーン別に(体験)、残っている声のイメージを言葉と一緒に書き出してみましょう。

  1.あなたが印象に残っている声

  2.あなたが印象に残ったときのシーン

  3.そのときの相手の声。

  4.そのときの自分の声。

 さらに、思い出すシーンに入りましょう。

       相手  状況  言葉  声のイメージ

  1.

  2.

  3.

  4.

 次の3つに絞り込んでみましょう。

 

  1.いい関係ができたとき

  2.出会いにときめいたとき

  3.願いを実現するとき

 声について考えましょう。

 

  1.とても嬉しかった声

  2.とてもつらかった声

  3.とても心に残った声

〇声によって、相性も変わる

 好意をもつ人に好かれないという経験はありませんか。同じパターンでの失敗をくり返したりしていませんか。

 それはあなたの努力だけでは、何ともしがたいこともあるのです。声は遺伝的なものや育ちと深く関わっているからです。つまり、声の関係づくりに影響を及ぼすのです。

 どんなにルックスのよい人でも、好きになれない人っていませんか。それも性格やセンスが合わないならともかく、何の不足もない人。なぜでしょう。

 もし、あなた以外の人にはモテモテなのに、あなたにはいけ好かないとか、“虫ずが走る”なんて人がいたら、わかりやすいですね。

そんなことを思ったこともないという人は、幸せだった人です。でも、だからチャンスを逃しているということもあるのですよ。なぜなら、大嫌いな人がはっきりしていれば、好きな人も浮びあがってくるからです。

〇声で合わない人もいる

 

たとえば、何となく合わないというのは、その人の感じからくるのですが、多くの原因は、受けとめる側のあなたにあります。

たとえば、どんなに格好いい人でも、小さい頃、そういう人にいじめられていたら、近づくのも嫌でしょう。そういう人と同じ匂いがする、同じファッションだ、同じものを身につけているとしたら、それだけで第一印象は大きくマイナス評価してしまうのです。声も同じです。どんなによい声でも、その声で叱られたり、怒鳴られた経験しかなければ親しめないものです。

 だから両親や兄弟、学校の先生や親戚の人の声というのは、あなたの意識のずっと深いところに大きな作用を及ぼしているのです。

○声の相性も変えられる

 

 あなたが知らずと、好んだり嫌ったりしていることが、まったく相手の責任ではないとしたら、ずいぶん勝手に判断をしているといえますね。でも好き嫌いって、そんなものです。つまり、トラウマの裏返しみたいなものです。

 だからといって、その人が好きになることで、嫌いなものも食べられるようになったり、大好物になることがありますね。そのように、変えられない、変わらないものではないのです。

声や感じで嫌いという相手に対しては、そこを気にせず、その人のよいところをとことん意識することで、その人を認めたり、感じよく思えるようになってきます。

 つまり、過去の(あなたが生まれてからか、先祖代々とか、わかりませんが)解放されるのです。

 

○本音で声をみる

 確かに人間としては、誰とも分け隔てなくつきあえる方がよいでしょう。ビジネスも通常のレベルではそうです。しかし、恋愛や本当の仕事というのは、惚れた、はれた、命かけて…ではありませんが、一途、本命、その人だけ、というものですから、少なくともここだけのことで、心おきなく生の感情、本音でやりましょう。一つのゲームです。この本を閉じたら、ジ・エンド、という逃げ道もあるのですから。

〇親の影響

 

 特に両親の好き嫌いというのは、刷り込みのように大きなものです。この問題の大きい人は、そこを徹底して煮詰めていきましょう。両親というのは、あなたの理想像に大きく関わっています。

 父親が好きなら、似たタイプを求めます。思春期に反発すると、逆のタイプにひかれ、それ以降は、どこか父親の面影のある人を好きになりやすいようです。

 まったく反対のタイプにひかれていたのに、結婚したら同じタイプだと露わになってきたとか、年齢をとるとともに、そっくりになってきたというのは、よくある話です。

 ですから、相手の両親をみるというのは、とても参考になります。私は男性には彼女を知りたければ、その将来像は、彼女の母親をみればわかるとアドバイスしています。

 

○相性の合わない声

 さて問題は、逆も真なり、つまりあなたが相手のタイプでなかったという場合です。髪型やファッションなら、相手の好みに合わせられるでしょう。体型も努力できることもあります。しかし、そういうものは、決定力になりません。

 人は時として、自分の価値観をぶっこわすような人を求めるからです。もしあなたがそういうタイプなら、ビジネスで成功する可能性が大きいです。

 女性は本能的に、保守的でした。そういうことに恐れがあり、相手が自分を理解できる範囲にとどめたいと思っていたものです。昔から、革新的な女性はいましたが、今は、それが当然となっています。

男性の成長は遅いので、たぶん二十代では、年齢プラス七歳くらいでつりあうくらいです。そこから成長するのに時間がかかるのです。

 将来性のある人は、自らに革新を求めています。ということは、あなたが声や感じに求めるように、過去から積み重ねられた一つのイメージというのに、必ずしもあなたが合わせる必要はないということです。

〇声の使い方で合わせる

 「私の声はとてもよい」と思っていても、残念なことに相手はそう思わなかったかもしれません。でも、そういう人に好かれたいと思うなら、そういう人の求める声をもつか、そういう声の使い方をすればよいのです。それも無理なら、声以外で勝負ですが。かなりのところまで、そういう人の声の使い方に近づけます。

Vol.84

〇自分の声を好きになる

 本当に声がよいかどうかよりも、声に自信があるかどうかが、とにかく声には大切です。

 声をよくするための最高の方法は、まずは自信をもつことです。

 自分の声はとてもよいと思い込みましょう。

自分の声に自信があると信じ込むと、よい人が近寄ってくるものです。

 秘訣というのなら、自信をもって生きている人は、声もよいのです。そうして生きているうちによくなるのです。いえ、声そのものがどうであれ、よい声に聞こえるようになるのです。

 本当は、悪声であるにも関わらず、そう聞こえる人も少なくないのです。そこがウィークポイントとなっている人もいます。モデルなどには、悪声なのに美声と思われている人もいます。いつもほめられるから、よくなることはないのです。

〇声は相手のもの

 何よりも大切なのは、よい声であるという事実よりも、よい声に聞こえるという現実です。

 「よい声であることよりも、よく聞こえること。」

 声はあなたのものですが、人間関係やビジネスにおいては、あなたの声はあなたのものではありません。相手の耳に入るのだから、相手のものと考えることです。

 ここを最初に押さえておくことです。コロンブスの卵のように、発想の逆転が必要です。

 すると、声をよくするというのは、自分の声をよくするのでなく、相手に聞こえる声をよくする、いや、相手があなたの声をよいものと聞くということがわかります。これを知ることで、声について大きな勘違いをしないですみます。

〇声は個性そのもの、他人と比べない

 モデルになれる人は限られています。スタイル第一です。それと自分のスタイルを比べる必要はありません。 どこか一つだけでもすぐれているなら、大きなメリットではないでしょうか。

 その点、声は、簡単には他人と優劣、うまさへたさと比べられません。つまり、優劣よりもオリジナリティで評価されるのです。

世の中には、いろんな声がありますね。あなたがどんな声でも、気にする必要はありません。あなたには、あなたの声があるのです。

 

〇声は歴史

 生まれつきの声のよしあし、育ちによる声の使い方のよしあし、そこで他人の判断は総合的になされます。

 しかし、声ほど、その人がどういう人なのかがすべてに正直に出てくるものもないのです。

 だからといって、自分の声にうぬぼれ、自己陶酔して使っているのではよくありません。一人よがりのカラオケでは、座はしらけるばかりでしょう。

 あなたが自分の声は魅力的と一時でも思えたら、間違いなく、声がよい、あるいは声がよくなるのです。これは声そのもののよしあしでなく、同じ声でも相手に声がとてもよく聞こえるようになるのです。なんかマジックみたいでしょう。(本当に声がよくならないと嫌だと思う人は、もう少し待ってください)。

 魅力とは、そんなものなのです。自分がどうであろうと、他人がそう思ってくれるのが魅力、これを忘れるから、方向違いの無駄な努力をするのです。

 整形よりもメーキャップ、メーキャップよりも明るい素顔だから、本人の努力しだいで何とでもできます。そこから、手をつけましょう。つまり、内面から磨くのです。

〇自分の声を認める

 今の自分の声を認めないで変えたいと思う人は、たくさんいます。でも、多くの人は、何ら手を打ちません。やり方を知らないというより、変えられるとは思わないのでしょう。確実なフェイスメーキャップ、もっと身近に売られている化粧品やその使い方に気持ちもいくのでしょう。そして声についてはまた、いつものように、いつのまにか忘れるのです。

 「あこがれの人と違う。」「あの人のようになりたい。」

 それは、多大な努力を要するし、声については、そもそも、持って生まれたものが違うなら、無理です。

 あなたが、かっこよい俳優にあこがれても、そういう顔になれますか。なれっこありません。なったら困るでしょう。他人を羨望することって、そんなものです。

 自分の声もきちんと認めるから、声があなたを幸せにしてくれるのです。これも大切なことなので、よく覚えておいてください。

 自分の声が嫌いだといくら声をよくしようと思っても、よくなりません。いえ、声そのものがよくなっても、「声がよいなあ」という作用を、まわりに及ぼさないからです。

〇事実よりも、思われること

 声そのものはとてもよいのに、ぜんぜん魅力のない人もいるでしょう。私のまわりの音大生にも、たくさんいました。声がよいのに人気がない。それは、声をよくしてきたかもしれないが、声で伝えることを学んでいないからなのです。クラシックでさえ、そうなのです。

 A.本当はよい人なのに、そう思われない人。

 B.本当はよい人なのに、そう思われているのに、もてない人。

 C.本当はよい人でもてているのに気づかない人。

なんかより、

 D.本当はよい人でないのに、よい人と思われいる人。

 E.本当はよい人でないのに、そう思われているのに、もてる人。

 F.本当よい人でないし、もてていなそうでないのに、人に慕われ、仕事にも成功している人が、よくありませんか。

 あなたにとって、本当の目標はどれなのでしょう。

〇なぜ声にこだわるのか

 なぜ声にこだわるのかというのは、声はルックスも含めたキャラクターのイメージと切っても切れないからです。それとともに、今、まだそこに気づいていない人が少ないから、大した投資をせずとも、大きな見返りが得られるからです。

 よいところに住んでいる、豪華な家をもっている、高級車に乗っている、プランドの持ちもの、アクセサリー、宝飾品、洋服、靴、ヘアー、香水、メーキャップ……と、ハリウッドの化粧、メーキャップ法などから銀幕のスターの持ちものなど、あこがれのものが、一部はお金しだいで、相当に私たちも手に入れられるようになりました。

 お金は、お金持ちの彼氏や親がいたら、同じとはいえないまでも、手に入ります。エステやジムでダイエットし、化粧したら、変身できます。

しかし、もっと基本的なことを忘れていませんか。それは、仕事や生活の決め手となることです。

〇もつべきものとは

 

 第一線の女優は、名誉も地位も財も手に入った成功者です。彼女たちがもっていて、私たちがもっていないものは、生まれつきの外形の美しさでしょうか。いえ今は美貌だけなら、もっと恵まれた人がいます。

 

 実はそれは、演技力と表現力なのです。美しくなくとも美しくみえる、かわいくなくてもかわいくみえる、それはもって生まれたものだけではありません。そこから声も見直して欲しいのです。

 

 「演技でしょう?」って、一般の方は言うのです。でも、演技って、嘘をリアルに見せ、他人の心を動かすのですから、とても難しいのです。そこで、みようみまねでやったからといって、簡単に通じるようなものではありません。今の自分でない役柄を、起きてもいない状況で、言ったこともないせりふを言って、みている人を納得させてしまうのですから。

Vol.83

〇声をなぜ放っておくのか

 

 最初は誰しも、自分の声を再生して聞いて違和感をもつでしょう。「私はこんな声ではない」という自己声否定状態です。なんとも間の悪い、バツの悪い、キマリの悪い思いをしても大抵はそのままです。気をとり直すと、考えることもなく、蓋をしてしまいます。目でみえないからです。すぐに跡かたもなく消えて残らないからです。

 声は耳で音として聞いても、すぐに抜けてしまいます。鏡のようにチェックしてどこが悪いのかを把握することもありません。

風邪でもひかなければ「私の声、おかしくない?」とは、聞きません。変とは思っても、自分の声とわかるくらいには認識しているし、「何ねぼけたことを」と一蹴されることも知っているからです。

 それでも、「自分の声と違う!」と言いたくなるものです。マイクでスピーカーから聞くときは、少し変でも、エコーでフォローされています。カラオケは目一杯、エコーがかかっているから、うまく聞こえます。だから「話している声もそのくらいになっているのでは」って逃げるのです。楽観視は自己逃避です。

 録音しても、自分が発したときと同時でないので、なかなか真実を認めにくい。

 でも残酷なようですが、エコーをとって歌ったり話してみてください。よくは聞こえないと思います。

 「瞬時に消えてしまうから捉えどころがない」これが改まらない最大の原因です。しゃべっていて言った端から声は消えていく。責任を問われない。

 でも「昔いった一言がうらみの元で」とも、聞きませんか。あなたが忘れていても、声は相手に届いています。相手の心に思いがけなく大きな作用をしているのです。  果たして、放っておいてよいのでしょうか。

 

〇自分を知るほどに、声を知らない

 

 人は、人生経験において、自分というものを知っていきます。しかし、こと声に関しては、自分の姿が裸なのか下品なのか端麗に着飾っているのか、省みることはありません。つまり、鏡をもっていないのです。これは恐いことでしょう。

それゆえ、それを手に入れた人は、大きく変身できるということです。でも、今の日本のように皆が裸なら、恥ずかしくないかもしれません。

 声を活かして成功している人はたくさんいます。そう、プライベートに燃える人も仕事のできる人も、相手の本音を声で見抜いて、自分に役立てています。

 

 たとえば、あなたが相手の嘘を見抜くのは、何でしょうか。態度、そぶりでもあるでしょう。でも、相手の姿がみえない電話一本でも「おかしい」「あやしい」「変」と思うことはありませんか。それは声でも見抜いているのです。

 文章などは、日々の業務のなかで、メールや手紙を書いていると、ちょっとしたトレーニングとなり、しぜんと上達していくものです。

 自分の書いたものは読み直して書き替えることができます。自分の書いたことと近い内容の他の文書をみると比べられます。必要に応じて、仕事や生活の中で文例や書き方を身につけていくからです。

 しかし、話し方を直すというのは、なかなかやっかいです。間違いであると、はっきりするものなら、経験で直ります。敬語などは、まわりをみて学習していきますね。しかし声は難題です。

 

〇声は直せるのか

 

 声は文章のように目でみえません。一度いったことを聞くこともできません。もちろん、録音再生して聞くことができますが、聞いている人はあまりいないでしょう。自分の声が聞こえると、早々にoffにしてしまいませんか。

 結婚式のスピーチも、読む練習はする人が多いというのに録音して聞く人はあまりいません。そんな人がいたら、たいしたものですね。

 考えてみたら、文章は書いた通りに相手に伝わるのですが、声は自分に聞こえるように、でなく、相手が聞くように聞こえるので、チェックするにもなかなか難しいのです。

 

 何よりも声というのはよくわからない。「直したくても、どこをどう直すのか」。多くの人にとって、声はとりとめのないものです。そうした疑問がたくさん出されてきました。

 「声って直せるの?」「声って生まれつきのものじゃないの?」「どう直せばよいの?」「声帯を手術するの?」「いったい、私の声って何?」「いったい、よい声って何?」「上品に話したら私らしくないしぃ」

 困りましたね。

 

〇幸せのための声と、不幸になる声

 

 私は、声から魅力づくりを、ではなく、魅力的ということから声を考えていきます。「魅力的になることに声はどう関係するのか」ということです。

 

 数年前、「負け犬、勝ち犬」という言葉が流行りました。この是非はわかりません。しかし、どんどんと幸せ気流にのる人と、不幸のどん底へ引きずられていく人と、大きく人生は分かれているように思います。どちらが、よい悪いということでなく、どうせ望めるなら、よい結果がでる方へ努力したいものです。ということで、人生なんて、神のみぞ知る、人や仕事、お金に愛されたら、よいとも思いませんが、私などは、そういうことを言う人に、「それが叶ったら言えよ」とつっこみたくなるのです。

 少なくとも、幸せ気流へ乗せるための声をとり扱います。幸せな声ではありません。求めるのは、幸せになるための声です。

 

 最近、私は70代くらいの人をみて、本当に人生は顔と声に出ると実感しました。同じ70年の人生で40代にみえる人も、90代にみえる人もいるのです。特に声の若々しさは、人生の勢いを象徴的します。あなたはどちらの人生を望みますか。

 

〇魅力的になるための声

 

 魅力的になるのは、幸せになるためです。幸せは、自分一人の力では得られません。人間関係や愛はいわずもがな、仕事もまわりの人のおかげで心地よく成功して報酬を得られるのです。

 芸能人をみていると、苦境に陥ったとき、両極に分かれるのが、よくわかります。一時、沈んだあと、復帰してこない人、逆に以前よりも大きく脚光を浴びるようになる人がいます。後者は、本人の努力もさることながら、まわりの人の尽力があったことでしょう。

 天才的発明家、作家、アーティストのように、他に替われない才能のある人というのは別としても、一般的には、人間関係をはずしては幸せにはなれないでしょう。パートナーに恵まれることも、幸せへの条件となります。

 ある先生は、「『富』は、自信だ」と言い切っています。

それでは、自信の中身とは、何なのでしょうか。

 

〇自信に満ちている声

 

 なぜ「一声で幸せになるとか魅力的になる」というのか、それは簡単なことです。声ほど状況を左右し、また、状況に左右されるものはないからです。

 まず、身体の健康です。元気であれば声は元気に、死にそうになれば人は死にそうな声を出します。風邪は風邪声でわかります。

 次に、心の健康です。嬉しいときは嬉しい声、悲しいときは悲しい声、ショックになると声さえ出ません。

 つまり、声は心身の状態と密接に関わっているのです。

 幸せな人は、幸せな声を、魅力的な人は魅力的な声を出します。また、幸せな声で幸せに、魅力的な声で魅力的になります。

 自信も同じです。声でその人の自信がわかります。自信をもつと、声に自信が出てくる、自信のある声が出せると、その人に自信が出てくる、すると、人生が大きく変わっていくのです。

 

〇はったり力から

 

 声に自信が出ていたら、自信のある人ということになります。ここは大切なポイントです。

 自信のある人の声は、自信に満ちている。なら、自信に満ちている声を出せたら、自信のある人となる。自信のある人とは、好かれる人、仕事のできる人の条件です。

 でも、自信なんて実体のないものでしょ。それで「はったり力」と私はいっています。でも、声で大切なのは、相手がどう受けとめるかというところです。もともと声は実体がないとはいいませんが、すぐ消えます。問われるのは、それが相手に働きかけた力です。

 ですから、仕事のできる人は、自信にあふれているような声を使います。

 あなたが体や肌の状態が悪ければメーキャップや着ている服などで隠したり目立たなくしますね。ところが声はどうですか、いつも素っ裸にしていませんか。

 自信があって、もっとも大きく変わるものは? スタイル? 顔? それは手術やメーキャップやダイエットの方がよいですね。しかし、お金も、かかりますね。

 でも声、これは自信をもてば、よくなるのです。しかもある程度まではすぐに変わります。少なくとも、ここを読み終えるだけでも変わるきっかけとなるはずです。

 

〇声の切り替え力

 

 私は、その人の能力、どの仕事でもベテランか新人か、声の使い方で判断しているかもしれません。どんな事情があろうと、それを隠してよくみせられる声に切り替えて使える人は、ベテランです。

 まさに役者は、そういうことのプロフェッショナルです。わずか1秒で、喜びの頂点から悲しみのどん底へ声で変えなくてはいけない。アナウンサーも、オンエア直前まで口論しても、ONとともににっこり平常の声に切り替えます。こういう職で、それをできなければ、失格です。

 多かれ少なかれ、社会人に問われるのが、この切り替え力です。それは、訓練しないと表情に出てしまいます。顔にも声にも。顔でごまかしても、声でバレます。

 

〇声のメーキャップの大きな力

 

 声のメーキャップを知っている人と知らない人では、考えられないほど、まわりの評価が大きく違ってくるということです。

 声のメーキャップは、声の切り替え与えですから、0.5秒もいりません。お金もかかりません。気分や感情を切り離して、メーキャップするのです。しかし、これを一日どころか何年たっても切り替えられない人が多いのです。すると、悪循環にはまっていくのです。

 私もいろんなケースで困ってどうしようもなくなったとき、誰かの一声で救われたことがあります。

 「いいじゃん、またやれば」

 「もう終わったことだし、あしたからがんばろう」

 「でも、いいこともあったよね」

 どんなに悪い状況でも、明るい声、元気な声を与えられる人は、神様、仏様、菩薩様です。その人の明るい声は、皆の心に強く残ります。そして、その人の人生の栄華を保証します。

 

〇どこまで声をよくすればよい?

 

 声は整形と同じく手術でも変えられます。ただ、今はまだ、障害のあるケースをのぞき、よい声にする手術は一般的ではありません。喉(声帯)を悪くしたのならともかく、治療での手術でなくても改善できるからです。もしかして将来、美容整形や矯正歯科のように、一般化するかもしれませんが、今は望みません。整形手術のように流行するのには、私は賛成しかねます。

 手術などの最終手段をとるまえに、誰にでもまだまだやれることがたくさんあるからです。そしてほとんどの問題は、そこで解決できるばかりか、おつりがくると思っているからです。

 整形手術を否定するわけではありません。それによって、自信をつけ、人生で成功した例もたくさんあるからです。しかし、顔を整形しただけでは成功しません。そのことによって、ほとんどすべての人が、姿勢、歩き方、声、話し方までよくなるのです。つまり、整形ということで得た自信が、すべてを変えていくからです。

 それなら整形まえにその自信だけで同じだけのことを遂げてみればと思うのです。つまり、自信をもって、いや自信そのもので、姿勢から声まで変えるのです。

 

〇思い込みの力

 

 芸能界にデビューするときれいになるのは、レッスンもさることながら、人に認められたこと、人に認められることで大きな自信をもつからです。

 その自信がないと、何をしても難しくなります。そういうときは、歩き方や話し方、声のトレーニングから入るのも、一つのアプローチでしょう。

 形だけにこだわる人、つまり手術をしても、「いつもまだよくなっていない」と思う人は、成功はしません。

 一方、プチ整形で目立たないところのポイントだけ変えても大きく変わった人もいます。そもそも周りは必ずしもそこに気づかないのだから、変わったのは顔でなくそのことに投資して変わったと思い込んだ本人のイメージの方が大きいのです。

 それと同じく、声がよくなることでも、自分の声はよいという、魅力的なイメージ、思い込みが大切だということです。

 

Vol.82

〇声をなぜ放っておくのか

 

 最初は誰しも、自分の声を再生して聞いて違和感をもつでしょう。「私はこんな声ではない」という自己声否定状態です。なんとも間の悪い、バツの悪い、キマリの悪い思いをしても大抵はそのままです。気をとり直すと、考えることもなく、蓋をしてしまいます。目でみえないからです。すぐに跡かたもなく消えて残らないからです。

 声は耳で音として聞いても、すぐに抜けてしまいます。鏡のようにチェックしてどこが悪いのかを把握することもありません。

風邪でもひかなければ「私の声、おかしくない?」とは、聞きません。変とは思っても、自分の声とわかるくらいには認識しているし、「何ねぼけたことを」と一蹴されることも知っているからです。

 それでも、「自分の声と違う!」と言いたくなるものです。マイクでスピーカーから聞くときは、少し変でも、エコーでフォローされています。カラオケは目一杯、エコーがかかっているから、うまく聞こえます。だから「話している声もそのくらいになっているのでは」って逃げるのです。楽観視は自己逃避です。

 録音しても、自分が発したときと同時でないので、なかなか真実を認めにくい。

 でも残酷なようですが、エコーをとって歌ったり話してみてください。よくは聞こえないと思います。

 「瞬時に消えてしまうから捉えどころがない」これが改まらない最大の原因です。しゃべっていて言った端から声は消えていく。責任を問われない。

 でも「昔いった一言がうらみの元で」とも、聞きませんか。あなたが忘れていても、声は相手に届いています。相手の心に思いがけなく大きな作用をしているのです。  果たして、放っておいてよいのでしょうか。

 

〇自分を知るほどに、声を知らない

 

 人は、人生経験において、自分というものを知っていきます。しかし、こと声に関しては、自分の姿が裸なのか下品なのか端麗に着飾っているのか、省みることはありません。つまり、鏡をもっていないのです。これは恐いことでしょう。

それゆえ、それを手に入れた人は、大きく変身できるということです。でも、今の日本のように皆が裸なら、恥ずかしくないかもしれません。

 声を活かして成功している人はたくさんいます。そう、プライベートに燃える人も仕事のできる人も、相手の本音を声で見抜いて、自分に役立てています。

 

 たとえば、あなたが相手の嘘を見抜くのは、何でしょうか。態度、そぶりでもあるでしょう。でも、相手の姿がみえない電話一本でも「おかしい」「あやしい」「変」と思うことはありませんか。それは声でも見抜いているのです。

 文章などは、日々の業務のなかで、メールや手紙を書いていると、ちょっとしたトレーニングとなり、しぜんと上達していくものです。

 自分の書いたものは読み直して書き替えることができます。自分の書いたことと近い内容の他の文書をみると比べられます。必要に応じて、仕事や生活の中で文例や書き方を身につけていくからです。

 しかし、話し方を直すというのは、なかなかやっかいです。間違いであると、はっきりするものなら、経験で直ります。敬語などは、まわりをみて学習していきますね。しかし声は難題です。

 

〇声は直せるのか

 

 声は文章のように目でみえません。一度いったことを聞くこともできません。もちろん、録音再生して聞くことができますが、聞いている人はあまりいないでしょう。自分の声が聞こえると、早々にoffにしてしまいませんか。

 結婚式のスピーチも、読む練習はする人が多いというのに録音して聞く人はあまりいません。そんな人がいたら、たいしたものですね。

 考えてみたら、文章は書いた通りに相手に伝わるのですが、声は自分に聞こえるように、でなく、相手が聞くように聞こえるので、チェックするにもなかなか難しいのです。

 

 何よりも声というのはよくわからない。「直したくても、どこをどう直すのか」。多くの人にとって、声はとりとめのないものです。そうした疑問がたくさん出されてきました。

 「声って直せるの?」「声って生まれつきのものじゃないの?」「どう直せばよいの?」「声帯を手術するの?」「いったい、私の声って何?」「いったい、よい声って何?」「上品に話したら私らしくないしぃ」

 困りましたね。

 

〇幸せのための声と、不幸になる声

 

 私は、声から魅力づくりを、ではなく、魅力的ということから声を考えていきます。「魅力的になることに声はどう関係するのか」ということです。

 

 数年前、「負け犬、勝ち犬」という言葉が流行りました。この是非はわかりません。しかし、どんどんと幸せ気流にのる人と、不幸のどん底へ引きずられていく人と、大きく人生は分かれているように思います。どちらが、よい悪いということでなく、どうせ望めるなら、よい結果がでる方へ努力したいものです。ということで、人生なんて、神のみぞ知る、人や仕事、お金に愛されたら、よいとも思いませんが、私などは、そういうことを言う人に、「それが叶ったら言えよ」とつっこみたくなるのです。

 少なくとも、幸せ気流へ乗せるための声をとり扱います。幸せな声ではありません。求めるのは、幸せになるための声です。

 

 最近、私は70代くらいの人をみて、本当に人生は顔と声に出ると実感しました。同じ70年の人生で40代にみえる人も、90代にみえる人もいるのです。特に声の若々しさは、人生の勢いを象徴的します。あなたはどちらの人生を望みますか。

 

〇魅力的になるための声

 

 魅力的になるのは、幸せになるためです。幸せは、自分一人の力では得られません。人間関係や愛はいわずもがな、仕事もまわりの人のおかげで心地よく成功して報酬を得られるのです。

 芸能人をみていると、苦境に陥ったとき、両極に分かれるのが、よくわかります。一時、沈んだあと、復帰してこない人、逆に以前よりも大きく脚光を浴びるようになる人がいます。後者は、本人の努力もさることながら、まわりの人の尽力があったことでしょう。

 天才的発明家、作家、アーティストのように、他に替われない才能のある人というのは別としても、一般的には、人間関係をはずしては幸せにはなれないでしょう。パートナーに恵まれることも、幸せへの条件となります。

 ある先生は、「『富』は、自信だ」と言い切っています。

それでは、自信の中身とは、何なのでしょうか。

 

〇自信に満ちている声

 

 なぜ「一声で幸せになるとか魅力的になる」というのか、それは簡単なことです。声ほど状況を左右し、また、状況に左右されるものはないからです。

 まず、身体の健康です。元気であれば声は元気に、死にそうになれば人は死にそうな声を出します。風邪は風邪声でわかります。

 次に、心の健康です。嬉しいときは嬉しい声、悲しいときは悲しい声、ショックになると声さえ出ません。

 つまり、声は心身の状態と密接に関わっているのです。

 幸せな人は、幸せな声を、魅力的な人は魅力的な声を出します。また、幸せな声で幸せに、魅力的な声で魅力的になります。

 自信も同じです。声でその人の自信がわかります。自信をもつと、声に自信が出てくる、自信のある声が出せると、その人に自信が出てくる、すると、人生が大きく変わっていくのです。

 

〇はったり力から

 

 声に自信が出ていたら、自信のある人ということになります。ここは大切なポイントです。

 自信のある人の声は、自信に満ちている。なら、自信に満ちている声を出せたら、自信のある人となる。自信のある人とは、好かれる人、仕事のできる人の条件です。

 でも、自信なんて実体のないものでしょ。それで「はったり力」と私はいっています。でも、声で大切なのは、相手がどう受けとめるかというところです。もともと声は実体がないとはいいませんが、すぐ消えます。問われるのは、それが相手に働きかけた力です。

 ですから、仕事のできる人は、自信にあふれているような声を使います。

 あなたが体や肌の状態が悪ければメーキャップや着ている服などで隠したり目立たなくしますね。ところが声はどうですか、いつも素っ裸にしていませんか。

 自信があって、もっとも大きく変わるものは? スタイル? 顔? それは手術やメーキャップやダイエットの方がよいですね。しかし、お金も、かかりますね。

 でも声、これは自信をもてば、よくなるのです。しかもある程度まではすぐに変わります。少なくとも、ここを読み終えるだけでも変わるきっかけとなるはずです。

 

〇声の切り替え力

 

 私は、その人の能力、どの仕事でもベテランか新人か、声の使い方で判断しているかもしれません。どんな事情があろうと、それを隠してよくみせられる声に切り替えて使える人は、ベテランです。

 まさに役者は、そういうことのプロフェッショナルです。わずか1秒で、喜びの頂点から悲しみのどん底へ声で変えなくてはいけない。アナウンサーも、オンエア直前まで口論しても、ONとともににっこり平常の声に切り替えます。こういう職で、それをできなければ、失格です。

 多かれ少なかれ、社会人に問われるのが、この切り替え力です。それは、訓練しないと表情に出てしまいます。顔にも声にも。顔でごまかしても、声でバレます。

 

〇声のメーキャップの大きな力

 

 声のメーキャップを知っている人と知らない人では、考えられないほど、まわりの評価が大きく違ってくるということです。

 声のメーキャップは、声の切り替え与えですから、0.5秒もいりません。お金もかかりません。気分や感情を切り離して、メーキャップするのです。しかし、これを一日どころか何年たっても切り替えられない人が多いのです。すると、悪循環にはまっていくのです。

 私もいろんなケースで困ってどうしようもなくなったとき、誰かの一声で救われたことがあります。

 「いいじゃん、またやれば」

 「もう終わったことだし、あしたからがんばろう」

 「でも、いいこともあったよね」

 どんなに悪い状況でも、明るい声、元気な声を与えられる人は、神様、仏様、菩薩様です。その人の明るい声は、皆の心に強く残ります。そして、その人の人生の栄華を保証します。

 

〇どこまで声をよくすればよい?

 

 声は整形と同じく手術でも変えられます。ただ、今はまだ、障害のあるケースをのぞき、よい声にする手術は一般的ではありません。喉(声帯)を悪くしたのならともかく、治療での手術でなくても改善できるからです。もしかして将来、美容整形や矯正歯科のように、一般化するかもしれませんが、今は望みません。整形手術のように流行するのには、私は賛成しかねます。

 手術などの最終手段をとるまえに、誰にでもまだまだやれることがたくさんあるからです。そしてほとんどの問題は、そこで解決できるばかりか、おつりがくると思っているからです。

 整形手術を否定するわけではありません。それによって、自信をつけ、人生で成功した例もたくさんあるからです。しかし、顔を整形しただけでは成功しません。そのことによって、ほとんどすべての人が、姿勢、歩き方、声、話し方までよくなるのです。つまり、整形ということで得た自信が、すべてを変えていくからです。

 それなら整形まえにその自信だけで同じだけのことを遂げてみればと思うのです。つまり、自信をもって、いや自信そのもので、姿勢から声まで変えるのです。

 

〇思い込みの力

 

 芸能界にデビューするときれいになるのは、レッスンもさることながら、人に認められたこと、人に認められることで大きな自信をもつからです。

 その自信がないと、何をしても難しくなります。そういうときは、歩き方や話し方、声のトレーニングから入るのも、一つのアプローチでしょう。

 形だけにこだわる人、つまり手術をしても、「いつもまだよくなっていない」と思う人は、成功はしません。

 一方、プチ整形で目立たないところのポイントだけ変えても大きく変わった人もいます。そもそも周りは必ずしもそこに気づかないのだから、変わったのは顔でなくそのことに投資して変わったと思い込んだ本人のイメージの方が大きいのです。

 それと同じく、声がよくなることでも、自分の声はよいという、魅力的なイメージ、思い込みが大切だということです。

Vol.81

〇声は人間の獲得した最大の武器

 自分のルックス、スタイルなどとともに、声にも関心を持つとよいでしょう。確かに見た目は直せます。ルックスもスタイルも、最新の医療や美容法でよくなるでしょう。しかし考えてみれば、ルックスもスタイルも全然よくないのに、とてももてている人や魅力的な人、そして幸せな生活をしている人もいます。

 ルックスやスタイルをよくするとなると、すごく手間もお金もかかります。今から美容のプロに勝てますか。それよりも内面を磨くとしたらどうでしょう。話し方でプロレベルになろうとしたら、これもまた大変です。

しかし、声ならどうでしょう。声についてはこれまで未知のゾーンのように手につけられていませんでした。

 お勧めするのは、ずばり声を魅力的にすること、誰もが知らないことは、誰もがやっていないこと、それゆえ、ちょっとした努力で多大な成果をもたらすからです。

 

1.大してお金がかかりません。

2.毎日、一人でできます。

3.気持ちも気分もよくなります。

 声のことを知り、声を磨いて、幸せを手に入れてください。

〇魅力について

 人生は、常にまわりの人との関係とともにあります。それは誤解を恐れずに言えば、「自分のスタイル、ルックスにどこまで自信をもてるか」抜きには語れません。

 たとえば人は何歳になってもどうしてブランドものや美容やエステにお金をかけるのでしょうか。自己満足的な追及もあるでしょう。それによって手に入れた成果に左右されてしまう相手がいるからでしょう。

年齢を重ねると、さほどルックスに左右されなくなります。ちょっとしたしぐさや話し方などに魅力を感じていくのではないでしょうか。

 私は、いかに容姿に恵まれていらしても、性格がよい人にみえても、あまり気にならないのですが、話し方、声が合わないと、また会おうという気にはならないのです。そう、ルックス、スタイルなどは、実のところ、あまり関係ないことに今さらながら気づいてきたのです。

 というと「何をバカなことを」と思われてしまうかもしれません。現に、私のまわりの人はルックスや性格のよい人も多いけど、話しているときの声がとてもチャーミングです。

 あなたも含め、多くの人は、このように無意識下に感じているのではないでしょう。

 多くの人に表向きちやほやされたいなら、ルックスやスタイル、ファッションも持ちものも大切でしょう。しかし、一人ひとりと深くつきあっていくには、もっと大切なものがあります。人間関係は、とどのつまり、一対一がベースなのです。そこで問われるのは、内面性です。 それが端的に表われるのも、声なのです。

〇幸せへのパスポートは、声

  • 恋愛、結婚、家庭、育児
  • 仕事、出世、自己実現、経済的自立、やりが
  • 人間関係

 

さて、あなたは、今のあなたに満足していますか。ABCについて、いかがでしょう。このABCが、おのずとうまくいっている人は、魅力的な人です。

 あなたは、自分を魅力的だと思いますか。YesでもNoでも構いません。もっと魅力的になれると思っていますか。

 多くの人は、自信をもって「そうだ」とは言い切れないでしょう。でも、大丈夫です。

 声や話し方を少し変えるだけで、あなたのまわりに奇跡がおきます。仕事も人間関係も恵まれていくでしょう。これは決して嘘ではありません。なぜなら、あなた自身が、選びたい人も、きっと同じような価値観をもつ人と考えられますから。

 

〇パワー

 

内面的にといっても、性格や考え方をそれほど重要視することはないと思います。なぜなら、性格がよくないとか考え方がちょっとどうもと思える人のなかでも、とても魅力的な人がたくさんいるからです。

 いえ、深く愛される人は、かけがえのない人、つまり替わりのきかない人、それゆえ、性格や考え方が凡庸ってことはありません。

仕事がよくできる人も同じです。性格がよくて考え方が人と同じだったら、大した仕事はできませんし、魅力もありません。

 友人などに好かれたり、人気がある人も、おかしなところのある人の方が多いでしょう。性格や考え方などは、その人の行動に垣間見た、そのときの空気にすぎないことも多いのです。

 それに対し、1.顔の表情、笑顔のよさ 2.声のよさ 3.動きのよさ こういうものがすぐれている人には、誰もがあこがれます。そこから声に絞り込みます。つまり、声でパワー、仕事のパワー、人間関係のパワー力を高めるのです。

〇声量

 ここでちょっと、逆を考えてみてください。

 1.魅力的な表情に乏しく、暗くみえる。

 2.声がこもったり、小さくハッキリしない。

 3.行動に迷い、てきぱき動けない。

 それは決して、魅力的なあなたではありません。でも、すぐに変えられます。というのは、どれについてもあなたは一度ならず、この人生のなかで魅力的にふるまったことがあるはずだからです。

 私は、声運というのがあると思っています。よい声を出せば運がめぐってくる、人もお金も。どんどん豊かになってくるという運のことです。

 人間関係について声で損している。

 仕事で声がうまく使えない。

 声で好かれていない。

 自分の声は嫌い。

 今の自分の声に満足できない。

 そんな人は、声で大変身してください。あなたの幸せのために、声からアプローチしていきましょう。

 今の花形職業って何でしょうか。魅力も人気もあるのは、アナウンサー、声優、お笑いタレントです。容姿があるから? いえ、声と言葉が磨かれているから、なのです。

〇自分の声は魅力的と信じる

 多くの方が「自分の声に自信がない」「声で損しているようだ」ということでアドバイスを聞きにいらっしゃいます。しかし、そういっている人で、本当に声に原因のあるという人はほんのわずかです。

つまり、声に対してコンプレックスをお持ちの人は、とても自意識が高いか、まわりの人の一言を気にしやすく暗示にかかりやすいタイプといえます。

 話していて、すべて言っていることがわかるし、発音や発声器官などに問題はないのです。キャリアのある方のなかには、自分の声のよさを自慢にしたいのではないかとさえ思われるほどすぐれた人もいます。

 「本当の音痴は、音痴であることを知らない」とでもいいましょうか。そういう人は、大きな勘違いをなさっているのです。このことは、他の面にも通じますが、声という摩訶不思議なものにおいて、象徴的にあらわれるのです。声は自分が思っているように、自分には聞こえません。

〇慣れる

 

 あなたは、録音された自分の声を聞くと、不快な感じにとらわれませんか。

 自分の声に慣れていない人にとっては、着飾っているつもりが、鏡でみるとちんちくりんな服を着ているようで、嫌になるのです。「ああ、私の声って、こうなんだ」と。

 服や化粧ならすぐさま直します。歯や眉毛、肌などもそうでしょう。口紅だって、はみ出ていたら、そのままにしておく人はいないでしょう。

 しかし、声はどうですか。「嫌だなあ」と思っても、だいたいはそのまま放置してしまいます。見えませんから。直せないような気もするからだし、さしあたって優先しなくてもよいことのようですから。

でも、みんなには、いつもあなたのその声が聞こえているのです。

ここらあたりから、一度、問題を突き詰めてみましょう。

Vol.80

○プロミネンス(prominence 強調)

 

 プロミネンスとは、表現を相手に強く伝えることです。強調してはっきりと伝えることを示します。全ての言葉を強く言うと、均等化され、平坦になります。

それを避けるため、特に意味をもつ大切な言葉だけを強調します。ただし、大きく言ったために、発音が不明瞭になったり、何を言ったのかわからなくなるようでは、本末転倒です。

 文のなかでは特に伝えたい言葉があれば強く言うのが原則です。強く言うと、大きく高くなりがちですが、結果的に、しっかりと伝わればよいのです。

ですから、大切な言葉をゆっくりいうとか、太くいうこともあります。短くはっきりというのも、表情や方向を変えていうのも、プロミネンスです。そのために、その言葉の前後を弱く言うとか、前後に間をとることもあります。

 つまり、プロミネンスとは強弱アクセントではなく、語や文章そのものを強めるということです。

 

○強調のトレーニング

 

1)低く、弱く読む

 強調したい言葉を、声を低く弱く、小さな声にして読みましょう。カタカナの言葉の意味を強める気持ちをこめて音読します。

1.音もなく スゥーと 消えたんです。

2.教室で シズカに 自習をしましょう。

3.ここに置いたはずなのに、ナイなんて おかしい。

 

2)伸ばして読む

 一つの音を長く伸ばすと、その言葉の意味が強調されます。

広い海岸→ヒローイ海岸  小さな子供→チーサナ子供

長い坂道→ナガーイ坂道  冷たい雨→ツメターイ雨

 言葉の一つ(形容詞、副詞)を長く伸ばしましょう。その言葉の意味を強める気持ちをこめて音読します。

1.オーキイ 犬がいたら注意してね。

2.ぞうさんは、 ユックリと 歩いていきました。

3.ほら、チャント あなたの本もありますよ。

4.そんな オカシナ話があるものですか。

 

3)速く読む

 言葉を、声を速めて、つまり早口で読みます。言葉の意味を強めるため気持ちをこめて、しっかりと音読します。

1.そうじを テキパキと 終わらせる。

2.めだかが スイスイ 泳いでいるわ。

3.幸い、わたしの勘が ピタリと 当たった。

 

4)間をあけて読む

 間をあけて言葉の意味を強調する方法があります。いろいろな間のあけ方とその効果を学びましょう。

 「わたしは、あの人が、だいすきです。」の文で考えてみましょう。次に読点(テン)のところで間をあけて読むことにします。その変化による意味の伝わり方の違いを感じてください。

1.わたしは、みんなが、だいすき、です。

(「だいすき」の上と下で間をあけて「だいすき」と速く読む。)

2.わたしは、みんなが、だ、い、す、き、です。

(「だいすき」の一つひとつの音をゆっくりと間をあけて読む。)

3.わたしは、みんなが、だーい、すき、です。

(「だいすき」の上と下と、中間で間をあけ、「だーい」と伸ばす。)

4.わたしは、みんなが、だいっ、すき、です。

(「だいすき」の上と下と、中間で間をあけ、速く読む。)

 

○ポーズ(pause 間)

 

 話のなかで音声がない空間、時間を間といいます。そこでは話が休止したり、終止したりしているのではありません。間は、言葉を生き生きさせ、伝えるために、大きな働きをしているのです。

 間のない読み方をしてみてください。あなたがどんなに饒舌でも、早くなるほど、聞いているほうは、疲れるでしょう。聞きづらい人、飽きさせる人は、間をうまく活かせていません。間は短すぎても長すぎてもいけないのです。間は、状況に応じて選択しなくてはなりません。

 間をおくにも、間を破るにも、呼吸の力が必要です。呼吸が間を決めます。

 緩急、強弱といったメリハリのなかでの一方の極が、間であるといえます。

時間、空間、そして、人間、すべてに“間”という字が入っています。間は魔であるといわれます。それだけ重要なことなのです。

 

○声を伝わりやすくする「間」の使い方

 

 間のおき方によって、聞いている人にわかりやすく伝えることができます。間をうまくとるとわかりやすく聞こえます。

 間のとり方を間違えると、伝えることが伝わらなくなったり、意味が変わることもあります。

 間は、息つぎにも関係してきます。体の状態のよくない人の言葉は、とても聞きとりにくいものです。声を送り出す息や間が、聞こえないからです。

 

 このように呼吸は、表現を伝えるために、とても大きな働きをします。呼吸の合っていない言葉は、とても聞きにくいものです。聞いている人も呼吸をしているからです。息の流れを無視しないことです。呼吸や息つぎをうまく利用することによって、声に大きな表現効果をもたすことができるのです。

 間は、プロミネンスと切っても切れない関係にあります。「うん、そうか、あのね」と「うーん…。そうかぁ…あのね」とでは、全く違うのです。

 

○間の練習

 

 間は多くの場合、「こっちを向いてください」「私をみてください」「これから、大切なことを言いますよ」というような意味合いをもちます。間をとるためには、どこかをより速く言わなければならなくなります。全体の流れ、リズムがあるからです。こういうことにも、慣れていくことです。

 

1.言葉の緩急

 /のついているところまで速く、//のついているところまでゆっくり言ってみましょう。

 わたしの姉は、/ここからずっと離れたところに//引っ越しました。

 

2.間合い//で、適当な間をとってください。

  まあ//あんた//どこへ行ってた

 プロミネンスのためのポーズです。ここでは、ブレスをしないことも多いのですか、間をおくことで、次の言葉を際立たせます。つまり、声をとめることによって、次に口から出てくる言葉を目立たせるわけです。

 

3.「わたしは、この人が好きです。」

 これを、「この人が」にプロミネンスをおいて、大きな声で強調すると、まるで何か事件があって、皆のまえで訴えるようになってしまいます。親しい人に「この人が」と伝えるのなら「わたしは」のあとに、きっと間を入れることでしょう。「この人が」を小さく、ゆっくりと言うことによって強調することもできます。意味を正しく伝えることだけではなく、言葉に意味をしっかりと含め、言いたいことを際立たせるために、間が使われるのです。

 

より以前の記事一覧